CAMPFIRE Growth Hackとは
ヤフーが「グロースハック」にフォーカスした情報共有を定期的に行う、勉強会/交流会イベントです。
「勉強会は数多くあれどグロースハックを主題にしたものはあまり無い、コミュニティを盛り上げていきたい」との一言で始まりました。
発表
スポーツナビアプリ スモールチームでのアプリ強化の進め方
登壇者:今田 仁美さん(ワイズ・スポーツ株式会社)
スポーツナビアプリとは
- Web版が元々あってそのアプリ版、リリースから2年弱で累計200万DL突破
- コアバリューは「スポーツの「今」をどんなサイト・アプリよりも快適に、ストレスなく知ることができる」
現場の課題
- 人が少ない(常時4人ほどで回している)ので、大きな機能追加アップデートは難しい
- ユーザー獲得のためのプロモーション施策の同時並行も難しい
- 上から求められるアプリの成長は大きい
- リリースから一定期間立つとユーザー数が伸び悩む
- 「どうしたら少人数で効率よく高品質なアプリを提供し続けられるのか」が課題
- 一旦立ち返って「チームのこと」を考えた
- これまでのチームは一方通行気味のチーム。安全にリリースしたら終わり、で次のリリースへ
- どんなチームになったか
- 「ワクワクするチーム」とあるメンバー談
- 週1回の定例を開き、重要なところは必ず全員で決め、全員が納得した状態で開発に入れるように。
- 「案件ベースから長期的にアプリを考えられるチーム」に
- 納得感を得た状態でものづくりのフェーズに入ると一歩先が見えるようになり+αの提案が出来るように
- 結果的にアプリの質の向上に繋がった
- 最後に振り返りの場で褒め合う、労り合う
- チームが同じゴールを目指すために「コアバリュー」を強く意識、ユーザーに何を届けたいか
- 活発になった分議論がブレても方向修正
- 纏める役割として、アイデアを肥大化させずに優先度付けして絞っていく(人数は増えなかった…)
- 優先度の基準
- スポーツアプリだと伸びるシーズンがある程度決まっている(五輪、シーズン開幕…etc)のでそこをゴールに定めた
- DAUなど重要KPIに効くか
- これを何のためにやっているのか
- コアバリューに沿っているか
- まとめ
- アプリの前にチームを成長させる
- その上で優先度決定をしっかり
- 今田さん的には「褒め合う」ことが成長の秘訣なのではないかとのこと
発表資料
Android: スポーツナビ‐野球/サッカー/ゴルフなど速報、ニュースが満載 - Google Play の Android アプリ
iOS: スポーツナビを App Store で
サービスに新しい価値を作る方法
登壇者:外崎 匠さん(Retty株式会社 アプリプロジェクトリーダー)
- すでにあるサービスに付加価値をつけるには?
- すでにサービスのベースはある
- サービスがある程度ユーザーに認められている
- 今の世界観は壊せない
- Rettyについての紹介 日本最大級の実名型グルメサービス
- ある日CEOから「新しいお店探しの体験を作って欲しい」
- まずはサービスの置かれた現状を把握しよう
- 強み弱みを自分で考えて、自分事化することが大切
- 強み
- 「実名」であるがゆえに、口コミの信頼感があってポジティブなものが多い
- 弱み
- 他のユーザーがグルメ的にどんな人なのか分からないので、どの人のオススメがいいのか分からない
- 戦略を立てよう
- 現状の強みを活かして、弱みを解決する戦略を考える
- 現状の世界観はなるべく壊したくない = 実名制を損ねず、出て来る人がグルメ的にどんな人かわかるように
- グルメ度 × 専門性 = TOP USER
- ある程度方向性が決まったら超高速でプロトタイピングを繰り返す
- 考えた戦略が正しい方向か確認
- 方向性が間違っていなかったら、よりユーザーに刺さるものを見つける
- (間違っていたら止める勇気も大事)
- プロジェクトでのプロトタイピングでの事例
- 大まかな方向性を確認
- もう少しブラッシュアップする
- 全体を俯瞰してみる
- TOP USERの体験
- ヘビーユーザーがなりたいと思えるインセンティブを設計
- TOP USERでも取れないような会員制のお店を使ってのオフ会、Rettyへの愛着も形成
- TOP USERの口コミを雑誌にして、グッズ化する
- サービス外でTOP USER制度の認知やブランド力の向上
- 投稿やプレスリリースを打つなど
- TOP USERのメディア出演を積極的にサポート
- まとめ
- まずは現状把握(強み・弱み)
- 強みと弱みを踏まえた戦略を立てる
- 戦略を高速プロトタイピングで確認&ブラッシュアップ
- 全体を俯瞰
発表資料
FiNCアプリ流 チャットオンボーディングのグロースハック
登壇者:近藤 慶水さん(株式会社FiNC データ分析エンジニア)、百瀬 恵さん(株式会社FiNC アプリディレクター)
- FiNCの紹介、3月頭にリリース ヘルスケアコンテンツ、歩数などのライフログ管理、チャットAiサポート
- Retention Rate 継続率を重要指標にしている
- 約3ヶ月改善の結果 1dayRR / 7dayRR /30dayRR 150~300%改善
- RRの要因となるKPIとしてプッシュ通知許可率と歩数データ取得率が存在
- プッシュ通知 × 歩数データ = コア体験
- 歩数データが記録されると、チャットAiが反応、プッシュ通知が届く 簡単、達成感、お得
- プッシュ通知許可率が8,9割、歩数データ取得率も9割以上 プッシュ通知許可率に関しては驚異的な数値!
- チャット形式のオンボーディング(≒チュートリアル)
- プロフィール情報
- 健康に関する悩みなどを聞く
- プッシュ通知の許可などを求める
- アカウント登録処理
- 離脱を少なくするは当たり前だけど良い初期体験をしてもらうことが需要
- 極端な話多少離脱率が上がっても、最終的ににKPI(継続率)が上がれば良い
- なんの脈略もなくアプリを使い始めたときにpush通知許可 40%台(一般的なアプリと同数値)
- オンボーディングに入れ、許可した際のメリットを提示 許可率70%台
- (数十回のチューニングを経て)画像や文言やエフェクト等でわかりやすく伝える 許可率90%弱
- 改善する現場で奮闘したこと
- 「とりあえずbotでいいから、とスタートしたAiちゃん」=> 「なんでこいつ豆知識しか喋らないんだよ!」
- 今後の構想を見越して汎用的なチャットマスタ作成を一ヶ月くらいの間行い、今のAiの基盤が出来上がる
- いろんな会話を入れたいのに更新にひたすら時間がかかった => 今はエラー検知のためのテストが行えるようになりエラー文言も出るように、会話マスタ管理コンソール開発中
- たったひとつの絵文字、されど絵文字 文言や絵文字・画像の使い方・Aiの表情等のディティールの改善を繰り返した
- グロース出来る前提基盤とは
- 絶対的な評価軸があった ユーザー継続率
- 機能の役割が明確だった 連携率を上げる
- リリース体制が整った 汎用設計/マスタ体制
- 可視化環境が整った KPIダッシュボード
発表資料
データで説明できないカスタマーの課題を解消するために。
登壇者:竹信 瑞基さん(株式会社リクルートジョブズ アプリプロダクトオーナー)
- タウンワークについての紹介 バイトだけではなく正社員、派遣社員、業務委託など様々な雇用形態に対応
- データで説明できない事象をどう解くか
- カスタマーの声 データで説明できないことがある
- スマホでのバイト検索=めんどくさい
- 「おしゃれで楽そうなバイトってどう探すの?」
- UU単位で生ログ見ても「検索条件が変わっていっている」傾向しか見えない…
- 「なにが課題?」 わかっていることを、コトバにして整理
- イメージを具体化出来ていない
- スマホでの検索が面倒くさい
- 構成要素を足すことで言語化出来た
- 「前提」「課題仮設」「結果」に分解できた
- 限られたスコープでどう打ち手を導くか
- 現状と理想状態に分けて整理
- 前提状態から理想的な状態にするための打ち手は?
- 働きたい仕事が見つかることが理想状態、そのための手段は問わない
- オンボーディングで情報取得し求人レコメンド
- しかし、求職者/求人者の利益を守るため、様々な法令を遵守という制約があり、意図的、恣意的に歪めるのは良くない
- 何かしらの検索で目的を果たさねばならなくなった。
- 能動的で複雑な検索が課題 => 受動的にシンプルな検索ならいいのでは?
- 受動的な検索に寄り添うシンプルなUIをコンセプトにパターン出し
- ジョブーブの相談部屋 質問に答えるだけで検索できる
- しかし、質問について質問文言と検索条件との紐付けに制約条件は?
- 法令を読み込み、法務・コンプラ部署に相談
- 法令遵守を前提にレギュレーションを定義・合意形成
- ROIが測れない企画をどう進めるか
- 開発の優先順位≒ROIの大きい順 リターン最大化、コスト最小化
- 主機能の検索に課題はありそう
- リターンは検証でしかない、コストが問題ならコスト最小でやってみるしかない
- 質問をランダム表示、位置を主要導線外で試す
- 二週間の実装リリースでCVRが1.6倍以上
- オンボーディングにペライチ追加、利用UUが3倍以上に
- まとめ
- 課題状態を構造化し、カスタマーの課題解決とプロダクト成長を図っていこう
前途多難でも関係ない!基本の型でハッピーグロースハッキング
登壇者:松下 三四郎さん(ヤフー株式会社 第6代 アプリグロースハック黒帯)
- Yahoo! MAPについて 目的地が決まっていてナビゲーションをするアプリだった。
- ミッションは「地域と人々の毎日をより便利に、豊かに」
- リニューアルのタイミングで松下さんがjoin
- レビュー大荒れ 日時平均2以下
- 旧アプリとかなり違うコンセプトなのに、上書きでアップデート => *旧ユーザーにとって改悪アップデート:
- 組織の課題
- リニューアル後の進め方が決まっていない
- ステークホルダーが多すぎる100人以上
- 東京大阪名古屋の3拠点
- 課題解決のために大切な3つのこと
- コアバリュー お出かけに関するいい情報に出会えて探せて迷わず行ける
- KPIツリー ビジネス観点ではなくサービス改善につながるものでないと意味がない
- ロードマップ KGI, KPI, プロダクトの状態, ユーザー価値、メリット, やること ゴールを定める、そこに至るまで月ごとの戦略を定める
- 新しい月に入ったら前月の振り返りを必ず行う
- 全職種のキーマンを強引に巻き込んで決める
- データからユーザの声を集める
- 新ユーザと旧ユーザの2種類のユーザーがいる
- 行動ログと声を集めて定量化する
- 新ユーザーには初回体験を見直し、継続利用の仕組みを作る
- コア機能の理解度を行動ログから定量的に分析
- ある機能のあるステップまで踏んだユーザは翌日継続率が高いのでそれをより多くのユーザーにしてもらうために
- コア機能の理解度を行動ログから定量的に分析
- ネガティブな意見を減らす
- ネガティブとポジティブ両意見を引き出し定性的な意見を冷静に定量化する
- 分析したユーザーの声/データをKPIツリーにプロット
- 新規ユーザー 初回体験を見直し、継続利用の仕組みを作る
- 旧ユーザー ネガティブな意見を減らし、新ユーザで成功した体験を旧ユーザーにも
- まとめ
- どんな状況でもゴールとコアバリューを決める
- ゴールを達成するためにロードマップを作る
- 現状起きていることを把握し、戦略をアップデートしていく
発表資料
Yahoo! MAP - 【無料】ヤフーのナビ、地図アプリ - Google Play の Android アプリ
Yahoo! MAP - 地図、ナビ、お出かけ情報アプリを App Store で
まとめ
どの発表を聞いていても、まずは「コアバリュー」有りき。
当たり前だが、そのサービスは何を解決したいのかがブレているとユーザーにうまく届かないし、しかしそのようなサービスは少なくない。
次に現状を言語化、数値化し課題を解決するための指標を明確化させることが必要。
これも当たり前だが、何をどうすれば良いのかがぼんやりした状態では改善のアクションは起こせない。
後は明確化された指標を上げるためにそれぞれのサービスに合った手法があるといった感じだったが、特に今回の幾つかの発表で触れられていたオンボーディング(初回チュートリアル)を工夫して初回のユーザーをうまく導いてあげるのはとても効果が高そうだ。
余談ですがCAMPFIREでは懇親会のケータリングでお寿司が出ます、今回も美味しかったです。